FC2ブログ
2018/11/30

中学生職場体験学習

秋も一段と深まり、朝夕は寒さが身にしみる時節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、戸栗美術館では11月26日~30日までの5日間、中学生の職場体験学習を受け入れました。
今回は渋谷区立代々木中学校から2名をお迎えし、美術館の様々な業務を体験していただきました。
慣れない環境で緊張するなか、お二人ともしっかりと業務に取り組んでくださいました。
受付や桐箱の結び方、キャプションの製作をはじめ、お客様には見えない様々な裏方の仕事を体験し、美術館での仕事が多岐に渡ることを知っていただけたことと思います。
なかでも、学芸員の重要な仕事のひとつである作品紹介では、自分で作品の魅力を見つけ、それぞれ興味のある作品を選ぶことができました。
今回の職場体験学習を通して、美術館に一層興味を持っていただけましたら幸いです。

それでは、開催中の『鍋島と古九谷-意匠の系譜-展』出展品の中から、各々お気に入りの作品を以下にご紹介していただきます。是非、ご覧くださいませ。



代々木中学校の佐藤幹高です。僕は5日間、戸栗美術館で職業体験させていただきました。作品カードから学芸員の仕事を細かく教えてくださいました。僕が職業体験する前は美術館の仕事も学芸員という名前も知りませんでしたが、ひとつひとつ丁寧に教えていただき、学芸員の仕事は自分が思ってたより多く大変でした。

牡丹文
僕が選んだ作品は江戸時代の18世紀前半に作られた「染付 牡丹文 皿」という鍋島焼のお皿です。この作品の色遣いは、白色と青色のみで、僕はシンプルで整った物が好きなのでこの作品を選びました。
見込には大きく描かれた満開の牡丹もあり、まだ牡丹が花開いてない蕾もあります。牡丹の花に注目すると、花びらの縁は中心より白くなっています。また、しっかりと牡丹の花びらの柔らかさが描かれており、とても写実的です。
牡丹の葉も表は濃く描かれていますが、所々に見える葉の裏側は、少し表より薄く描かれています。この塗りつぶす技法を濃(だみ)といい、青色の濃淡を駆使した本作を作るには職人の高い技術が必要です。
そして、作品の裏を見てみると、表の写実的な牡丹に対して、裏は細い茎に小さな葉、大きな牡丹があって、デザイン化されています。ただし、裏面に書かれている牡丹も表のように、少し中心が濃く外側は少し薄くなっています。デザイン化しても濃によるグラデーションが、牡丹の花の雰囲気を残しています。
裏(牡丹文)
表面より描きにくそうな裏面一面にも文様が描かれていて、とても手が込んでるように見えます。この作品の横に鏡があるので裏面も是非見てみてください。




代々木中学校の宮内智樹です。僕は5日間戸栗美術館で職場体験をさせてもらいました。最初は楽だと思っていましたが、やってみるととても大変でした。伊万里焼についての勉強や、受付の仕事など色々なことを体験しました。この体験を通して学芸員が大変な仕事だと知りました。この経験を今後に生かしていきたいと思います。今回は5日間で調べた伊万里焼の作品を紹介します。

石畳文   石畳文裏
今回一番印象に残ったのは「色絵 石畳文 皿」です。17世紀中期に作られた古九谷様式の作品で、色鮮やかなのが特徴。伊万里焼は白や青のイメージだったため、この作品を見て驚きました。
この作品には二つの魅力があります。ひとつは見込の模様。黄色と黒色の二色の色遣いが印象的です。あえて石畳文の線を真っすぐに引いてないことで、人によって文様の見え方が違います。僕には田んぼに見えましたが、顔に見えるという人もいます。そういうことを考えながら見ると、普通に見るのとはまた違った面白さがあります。
ふたつ目の魅力は裏側です。見込の文様がインパクトがあるため、裏は注目されにくいですが、実は文様があります。全体が黄色で塗りつぶされていて、そこに、細かな菊唐草が描かれています。見込の大胆な文様と、裏の繊細な模様がひとつの作品にあらわされていて面白いです。
伊万里焼はただ見るだけではなく、細かいところまでよく見ると、新たな発見があります。作品を見るときそういった所も注目してみてください。
2018/11/30

渋谷東急本店『元祖むかし昔の食器展』を拝見いたしました。

みなさま、こんにちは。
東京でもやっと木々が色づきはじめました。
当館のお庭の紅葉も日ごとに赤く染まり、そろそろ見頃を迎えそうです。

さて、そのような秋深まる11月29日(木)より、渋谷・東急本店8階、美術ギャラリーにて『元祖むかし昔の食器展』が開催されています。
こちらは、古美術商の前坂晴天堂が主催の展示。
実は店主の前坂規之氏には先日当館のアートサークル会員様限定イベントにてご講演をいただいたばかりです。
(当館で開催されたイベントについてはこちらをご覧ください)

当館ともご縁のある前坂氏が手がける今展では、【食器】がテーマ。
特に江戸時代に作られた伊万里焼、古伊万里を中心に、昔に食器として作られたやきものがずらりと並んでいます。
器種も豊富に取り揃えられており、長皿や豆皿、蓋付碗や大鉢など様々です。
さらに、古伊万里だけでなく、瀬戸焼や京焼など他産地の個性豊かなうつわも。
どんなうつわを組み合わせようか、どんなお料理を盛り付けようかなど、わくわくしながら楽しめる展示です。

また、会場の東急本店は当館から歩いて5分程度。
この季節には道中色づいた街路樹のコブシや鮮やかに咲く山茶花もお楽しみいただけます。
秋のお散歩とともに、食卓を彩るうつわを探しに出かけてみてはいかがでしょう。


『元祖むかし昔の食器展』
渋谷 東急本店 8階美術ギャラリー
(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)

~12月12日(水)
午前10時~午後7時
最終日は午後17時閉場

元祖むかし昔の食器展


(学芸員 小西)
2018/11/25

古美術商さんを訪問しました

秋の高く澄んだ空に美しい紅葉が映える今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
そのような秋晴れに恵まれた11月19日の休館日、職員一同で古美術商さんを尋ねました。

まずは、東京都台東区のだんどりおんを訪問。
御店主はフランスのご出身で、日本文化に関心を持たれ、古伊万里をはじめとしたあらゆる日本の古美術品をお集めになられています。
古伊万里や薩摩焼といった陶磁器、漆器、浮世絵、仏像、人形など様々な美術品を並べた店内は、ガラスケースに収まっているもののほか、箪笥の中にも美術品が。引戸や引き出しを開けてまた新たな出会いがある、まさに宝探しを楽しめます。
御店主にお話を伺うと、一点一点、実に楽しそうに美術品のみどころを語ってくださいました。
美術品から内装まで、隅々まで御店主のこだわりが行き渡った店内で、時間を忘れて充実した時間を過ごさせていただきました。

IMG_20181119_113238.jpg

だんどりおん
東京都台東区台東 2-4-13
http://dentsdelion.com/index.htm



続いて、東京都中野区の嘉多加古へ。
1989年に中野の哲学堂近くに開店され、今年で30周年という節目の年を迎えられました。
古伊万里とヨーロッパやアメリカのアンティークグラスのコーディネートをコンセプトに掲げられ、店内は和と洋の融合したお洒落な空間です。
この日は店内にお邪魔すると、まずは洋食向けにアンティークグラスと古伊万里の碗や皿、猪口、漆器椀などがモダンにコーディネートされたテーブルが出迎えてくれました。
そして店内には、このほか多数のやきものやグラスが整然と並びます。
やきものの産地や年代のことも丁寧にお教えいただき、目からはもちろん耳からも美術品を堪能させていただきました。

IMG_20181119_094909_657.jpg
(画像提供:嘉多加古)

嘉多加古
東京都中野区江古田1-6-5 インテグラーレ哲学堂101
http://www.katakago.co.jp/

だんどりおん、嘉多加古の皆様、ご多用のところ誠にありがとうございました。

(学芸員 黒沢)
2018/11/16

2019年カレンダーの販売がはじまりました

当館のお庭の紅葉も色付いてまいりました。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

戸栗美術館2019年版カレンダーが完成いたしましたので、お知らせいたします。

2019年カレンダー表紙

今回、カレンダーに登場する作品は2019年4月6日(土)から6月20日(木)に開催予定の『佐賀・長崎のやきものめぐり』展の出展作品の中から選出。
当館が所蔵する伊万里焼や鍋島焼をはじめ、その周辺地域で焼造された波佐見焼や古武雄、現代の有田焼まで個性豊かな作品を掲載いたしました。
産地や時代によってテイストの異なる作品の数々をお楽しみいただけます。

戸栗美術館2019年カレンダー 1000円(税込)
当館ミュージアムショップまたは、通信販売にて取り扱っております。
通信販売についてはこちらをご覧ください。

2019カレンダー9・10月
〈9・10月掲載作品〉緑褐彩 櫛目文 鉢 武雄 江戸時代(17世紀後半)

館内には見本もご用意しております。
是非お手にとってご覧くださいませ。

(学芸員 青砥)
2018/11/09

夜間開館時の展示解説のお知らせ

日毎に寒さ加わる季節となりました。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

戸栗美術館では、金曜日は夜間開館として、20時まで開館しており、
夜の静かな雰囲気の中、作品をご鑑賞いただけます。

そして、今展『鍋島と古九谷-意匠の系譜-展』でも前回展に引き続き、
夜間開館時に展示解説を開催いたします。

企画展をご案内する通常の展示解説とは異なり、
第3展示室で開催中の『磁器誕生から100年の変遷』をご案内。
伊万里焼の基本的な内容をお話しする解説です。

開催概要は下記をご覧ください。

開催日:11月9日、11月23日、11月30日
時間:18時30分~(所要時間 約30分)
場所:戸栗美術館2階 第3展示室
参加方法:予約不要。当日、開催場所にお集まりください。


皆さまのご来館をお待ち申し上げております。

(学芸員 青砥)
2018/11/02

池袋東武『たなかふみえ作陶展』を拝見いたしました

朝晩は大分冷え込むようになり、東京でも少しずつ草木が色づきはじめました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

昨日より、たなかふみえ氏の個展が池袋東武にて始まりました。
たなか氏は当館でも毎年個展を開催されている有田在住の作家。
伝統的な古伊万里の文様を取り入れながらも、現代に馴染むような愛らしい作風でいらっしゃいます。

今回の個展のテーマは、ずばり「文様を楽しむ」。

来年の干支であるイノシシを描いた新作の小皿や盃、猪口をはじめとして、
なんと100種を越える作品が並びます。
煎茶碗(小)だけでも20種以上の文様があるほど。
どの形、どの文様にしようかと、選ぶ楽しみが存分に味わえる作陶展です。

中でも目を引くのが、蓋碗や反鉢、小鉢にあらわされた「赤玉瓔珞紋」。
真ん丸の赤い玉を幾つか配し、合間をレースのように繊細な瓔珞文で埋めていきます。
「色絵 赤玉瓔珞文 蓋付碗」(下写真/戸栗美術館所蔵)のように、江戸時代の古伊万里金襴手様式で多用された文様です。
色絵 赤玉瓔珞文 蓋付碗
本作は外面に赤玉瓔珞文、見込に意匠化した牡丹文が描かれますが、
たなか氏は赤玉瓔珞文に花鳥文を合わせ、伝統的な意匠を大変可愛らしくアレンジされています。

このような作品のほか、表面のみならず、裏文様や内側の文様にも遊び心のある絵付けが隠されているものもありますので、
是非会場でご覧になられてみてください。

会期中は全日在廊予定、絵付けの実演も予定されています。

『たなかふみえ作陶展―文様を楽しむ―』
池袋 東武 6階1番地 アートギャラリー
(東京都豊島区西池袋1-1-25)

~11月7日(水)
午前10時~午後8時
最終日は午後4時30分閉場

(学芸員 黒沢)