2017/08/15

『17世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅰ-展』9/2まで開催いたします。

暑い日が続きますが皆様おかわりごさいませんでしょうか。

さて、現在当館で開催中の『17世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅰ-展』の会期も残すところ2週間程となりました。

17世紀の古伊万里ミニポ



本日のブログは、今展のみどころを改めてご紹介していきます。

みどころ① 17世紀につくられた伊万里焼の多様性をみる
第1展示室では17世紀につくられた伊万里焼を「装飾」という観点でご紹介しております。
陶器と磁器の違いから、釉薬の種類、絵付け技法や成形方法などテーマ毎に作品を並べました。気になるテーマがございましたら、是非足を止めてじっくりご鑑賞下さい。
また、ポスターやチラシにも起用されております『銹釉色絵 家形香炉』は内側のお写真をロビーにて公開中です。こちらも今展期間中の公開となりますので、どうかお見逃しなく。

みどころ② 17世紀約100年間の伊万里焼の変遷を辿る
第2展示室では17世紀に作られた伊万里焼を製作年代順にご紹介しております。
ただし、時代順にただご紹介するのではなく、そのなかでも素地の違いや装飾の変遷などをお隣同士見比べてより伊万里焼の流れを感じていただけるように並べました。
また、第3展示室では『磁器生誕から100年の変遷』を同時開催しており、第2展示室と併せてご鑑賞頂きますとより一層理解が深まります。こちらでは将軍献上用のうつわである鍋島焼も展示しておりますので、忘れずお立ち寄りください。

みどころ③ 15のテーマ毎に並んだ個性豊かな作品を見比べながらお気に入りの作品を見つける
今回はテーマ毎に2~5作品ずつ並べて展示をしております。
ぜひお隣同士の作品を見比べて、作品の新たな一面を発見してください。
皆様にとっての逸品を発見していただけましたら嬉しいです。


以上簡単にみどころをご紹介いたしました。
今展は9/2(土)まで開催しております。残り僅かな期間ではございますが、引き続き、皆様のご来館をお待ち申し上げております。



そして、次回展覧会は9/15(金)より『18世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅱ-展』(~12/20(水)まで)を開催いたします。

18世紀の古伊万里ミニポ

 
17世紀に技術が最高潮に達した伊万里。18世紀には伊万里焼を使用する裾野が広がり、使う人に合わせた製品が生み出されました。
今展では高さ70㎝を超える大型壺から手のひらに収まる手塩皿まで、初出展作品を含む約80点を展示。
それらの器形や意匠などを比較しながら18世紀の伊万里焼の魅力を再発見します。

次回展のみでも十分お楽しみいただけますが、今展と併せてひと続きの展覧会として企画をしております。
是非『17世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅰ-展』をご鑑賞いただき、引き続き『18世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅱ-展』にも足を運んでいただけましたら幸いです。


皆様のご来館、心よりお待ち申し上げております。




2017/08/03

≪夏休み!キッズプログラム とぐり式お宝の包み方を学ぼう≫を開催いたします

皆様、こんにちは。

戸栗美術館では現在、「やきもの展示解説 入門編」を開催中でございます(~8月6日、毎日午後2時~)。

そして次週、8月11日(金・祝)~13日(日)の3日間は「夏休み!キッズプログラム とぐり式お宝の包み方を学ぼう」を開催いたします。

今年度より新しく始まる本イベントでは、小学生のお子様を対象に、木箱や風呂敷を使った美術品の包み方をレクチャーいたします。

戸栗美術館の収蔵品のほとんどを占めるやきものは、地震や火災から守るため薄葉紙でくるみ、桐箱に入れて保管しています。持ち運ぶ際や紐等が弱っている木箱の場合は、風呂敷にも包んでいます。



美術品を包む機会は中々あることではありません。 しかし今回レクチャーしますのは紐(基本は蝶結び)や風呂敷の結び方といった、日々の生活の中でも応用の効くものです。

なお、ご参加のお子様には戸栗美術館特製風呂敷をプレゼントいたします。



開催概要は下記をご覧くださいませ。

・日時:2017年8月11日(金・祝)~13日(日)
     毎日午後2時00分~/午後2時30分~
    (所要時間約30分、各回定員5組程度)
・場所:戸栗美術館1階ラウンジ
・参加費:お子様お一人500円
      ※8月1日(火)~31日(木)の間、小中学生は入館料無料。
・予約は不要ですが、保護者の方がご同伴ください。

皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。
2017/08/01

8月の予定

太陽がまぶしい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、当館の8月の予定をお知らせ致します。


『17世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅰ-展』開催中です。(~9月2日迄)

○毎週金曜は20:00まで開館いたします(入館受付は19:30まで)。
○月曜日休館 
○毎月第4月曜日はフリートークデーとして開館いたします(8月28日)
○8月1日~8月31日まで小中学生は入館料無料

「うつわを見る」時、皆様は何に注目されるでしょうか。何焼であるか、何に使うものか、あるいは色や文様などでしょうか。これらの他にもやきものには実に多くの見所があります。特に17世紀は伊万里焼の歴史の中でも誕生と技術革新によって多用な作品が生み出された時代です。一様ではないうつわの違いを、一歩踏み込んで考えながら観察していると、ふと新たな一面を発見できることがあり、作品が急に自分だけの「逸品」になるかもしれません。今展では「かたち」や「素地の白」など15のテーマのもとに個性豊かな約70点を展示しております。じっくり観察しながら皆様のお気に入りの「逸品」を是非探してみて下さい。


第3展示室同時開催『磁器生誕から100年の変遷』(~9月2日迄)
初期の伊万里焼から技術が爛熟する元禄期までの100年の変遷を各様式の特徴に沿ってご紹介しております。
徳川将軍家への献上を目的に創出された鍋島焼も展示しておりますので、併せてご鑑賞くださいませ。


特別展示室「九州のやきもの 波佐見焼」(~9月2日迄)
長崎県東彼杵郡波佐見町で江戸時代から焼かれ、約400年の歴史を持つ波佐見焼。今展では波佐見焼のはじまりから現代に至るまでの発展の流れをパネル展示でご紹介しています。


1階やきもの展示室同時開催『第3階 望月優作品展~今と昔をつなぐ~』(~9月2日迄)
陶片をモチーフに“今と昔をつなぐ”をテーマに器を制作。
伝統技法の轆轤、型打ち、上絵、下絵などを使いながらも、今を表現する器。
遊び心がある器を展示いたします。


展示の詳細はこちらをご覧下さい。






=8月のイベント=


□やきもの展示解説 入門編
○8月1日(火)~8月6日(日)
○各日午後2時~(約60分)

陶片(やきものの欠片)に触れながら、陶器と磁器の違いや伊万里焼の歴史などを学んだ後、現在開催中の企画展をご案内いたします。
初心者にもお楽しみいただける入門解説です。
入館券をお求めの上ご参加ください。



□夏休み!キッズプログラム 「とぐり式 お宝の包み方を学ぼう」

○2017年8月11日(金・祝)~13日(日)
○各日午後2時~午後3時

小学生を対象に、木箱と風呂敷を使って美術品の包み方をレクチャーします。
ご参加の皆様に戸栗美術館特製風呂敷をプレゼント。
(参加費一人500円、予約不要ですが保護者の方がご同伴ください)
イベント期間中、小中学生は入館料無料。




■フリートークデー(8月28日)


毎月第4月曜日は、館内でのお話をご自由にお楽しみいただけるフリートークデーとして開館致します。
通常開館日と同じく、どなたでもご来館いただけます。
当日は午後2時より学芸員によるミニパネルレクチャーも開催致します。


■8月展示解説日程
 【第2・第4 水曜日 午後2時~】
   8月9日・23日
 【第2・第4 土曜日 午前11時~】
   8月12日・26日

いずれも所要時間 は40~60分程度。予約不要です。入館券をお求めの上、ご自由にご参加ください。

今月は様々なイベントを開催予定です。
皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。
2017/07/30

博物館実習報告③

専修大学大学院文学研究科歴史学専攻から参りました、奈良竜一です。将来、学芸員を目指しているので、今回戸栗美術館で実習をさせていただいています。実習で特に印象に残っていることに、展示をするとき、作品が動かないようにテグスで止める作業があります。そのテグス留めが非常に難しく苦労しましたが、とても楽しかったです。

私が紹介したい作品は、伊万里焼の「染付 鮎文 輪花皿」です。17世紀後半の作と推定され、類似品の存在も伝わっています。他の古伊万里と同様に商品として流通していたと考えられます。また、よく観察してみると、見込部分にスレがあり、実際に使われていたのではないかと思います。どんな料理が盛られていたのか気になります。

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↑「染付 鮎文 輪花皿」17世紀後半 伊万里

さて、見込の周りに目を向けてみますと、陽刻(凸による文様表現)と濃染め(だみぞめ)で水流や渦が表現されています。白波は陽刻で表現されているため、見込と比べてもこもことした立体感があり、光が当たると実際に水の流れを感じるかのような躍動感を味わうことができます。
さらに、見込部分に目を移してみると、目のまん丸い愛嬌のある鮎が3匹泳いでいるかのように描かれています。3匹は、染付により、腹部分と背中部分で濃淡がはっきり分けて賦彩され、そのほか、背びれや口が「染付 鮎文 長皿」(17世紀後半 伊万里)と比べて小さく、リラックスした鮎の「日常」の姿が想像できます。ちなみに鮎は縄張り意識が強いらしく、餌場に外敵が侵入してくると突進して追い払うそうです。そのため、きっとこの3匹は仲良しなのでしょう。
裏面には葡萄文が描かれ、見込の魚文と同様に多産を願う意味が込められています。当時の人々の祈りが聞こえてきそうです。

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↑「染付 鮎文 輪花皿」背面

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↑「染付 鮎文 長皿」17世紀後半 伊万里

「染付 鮎文 長皿」は、渦巻く川の中を泳ぐ2匹の鮎がヒレを立てて描かれ、厳しい自然の中を生きる鮎の活き活きとした姿が描かれています。同じ鮎から取材したお皿でも、大分違う描かれ方をしているのはとても興味深いです。ちなみに、この2つの作品は、現在開催中の企画展『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』で、第1展示室にて隣同士展示していますので、ぜひご覧ください。

さてここからは、魚文の愛らしい目の表現について少し触れてみたいと思います。実は、愛嬌のあるまん丸の目の表現は先に述べた鮎文だけでなく、様々な魚文や動物文でもみられます。

例えば、古伊万里に先行する中国・明時代の「青花紅彩 魚藻文 壺」を見てみると、先にあげた鮎文皿と同じくまん丸の目をしています。しかし、黒目の位置が前方にあり、魚自身が見たい方向に視線を向けているような印象があります。そのため、こちらの作品は、水中をのびのびと泳ぐ自由さを感じられる表現になっています。

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↑「青花紅彩 魚藻文 壺」明時代 嘉靖(1522~1566年)景徳鎮窯

「青花紅彩 魚藻文 壺」のような作品には、同意匠のものが多く、当館所蔵品で言うと、例えば「五彩 魚藻文 壺」などがあります。

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↑「五彩 魚藻文 壺」明時代 嘉靖(1522~1566年)景徳鎮窯

この2つの作品では、水生植物とともに魚が活き活きと泳いでいる様を感じることができます。

さて、古伊万里では、魚文の絵付けだけでなく魚の形をした作品もあります。

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↑「染付 魚形皿」17世紀中期 伊万里

「染付 魚形皿」は鱗の装飾もさることながら、目に注目してみますと、まん丸で陽刻になっています。また他の作品との大きな違いは、目の輪郭線が強調されているところです。まるで本物の魚がこちらを見ているような生命の力強さを感じます。どのような場面でこの皿が使われていたのか、とても気になります。
このように同じ魚文の描かれた作品でも、例えば今回のブログのように、目に注目するだけでも色々な感じ方ができます。目だけでなく、魚の姿や魚の泳いでいる風景などに注目しても、とても面白いと思います。

これから、連日暑くなると思いますが、皆様の「逸品」を探しにぜひ戸栗美術館へお越しいただけたらと思います。ありがとうございました。

(専修大学大学院 奈良竜一)






以上3記事にわたって、博物館実習実施報告をさせていただきました。
実習中はみなさん意欲的に取り組んでくださり、慣れない環境のなか、それぞれの専門も学年も異なる方々が、互いにコミュニケーションをとりながら団結して業務にあたっていらっしゃるご様子が印象的でした。
積極的に動いてくださり職員一同感謝申し上げます。

さて、今回の博物館実習では作品キャプションやイベント開催時の門立て看板用掲示物も制作していただきました。
キャプションは次回展覧会「18世紀の古伊万里-逸品再発見Ⅱ-展」にて展示いたします。
また、各掲示物は「やきもの展示解説 入門編」期間中(8/1~8/6)各人2日ずつ掲示し、さらに「とぐり式 お宝の包みかたを学ぼう」期間中(8/11~8/13)各人1日ずつ掲示いたします。
皆様、是非ご覧くださいませ。

末筆ではございますが、実習生のみなさま、6日間本当にありがとうございました。

(学芸員 小西)
2017/07/30

博物館実習報告②

はじめまして。東京学芸大学の石井紗輝と申します。今回、戸栗美術館で学芸員実習をさせていただいております。
学芸員実習では大変多くのことを学ばせていただいております。特に、作品を展示する際に固定するテグス張りの体験はとても難しかったです。学芸員の方は慣れた手つきでお手本を示してくださいましたが、実際に体験してみるとテグスの張りを保ったまま作品を固定するのが難しく、自分の不器用さも相俟ってなかなか上手にできませんでした。陶磁器を扱う美術館ならではの体験をさせていただきました。

今回ブログを執筆するにあたり、現在開催中の『17世紀の古伊万里―逸品再発見Ⅰ―展』より、私が特に印象に残りました「染付 兎形皿」について紹介いたします。
石井①


「染付 兎形皿」(図①)は第2展示室入って右手に展示されております。本作品は遠くから見ると一見丸い小皿の組食器に見えます。しかし近づくと小皿全体が兎を象ったものであることが分かります。兎の身体は向かって右方向に向いていますが、首をくるっと左に向け丸まっているように表現されています。耳は中央の顔から左右にのびる様に描かれており、構図の大胆さが窺えます (図②)。
石井②


5客とも、素地に型を押しあてて兎の形を作ったと推定されます。兎の輪郭が滑らかな凹凸によって表現されています。ぷっくりとした愛らしい丸い目が特徴的です。全体として優しげな印象を受けます。

この兎形皿の作られた17世紀後半は、伊万里焼の技術が最高潮に達した時期です。本作品で使用されている染付技法も高い技術に達し、それは本作品からも見て取れます。本作品の輪郭線は均質で細かく、腹部や首、耳の先端、足先、背中に施された繊細な毛並みは、兎の愛らしさを際立たせています(図③)。また、何といってもこの美しい染付の青色のグラデーションは、兎の立体感をその造形と相俟って絶妙なバランスで表していると言えるでしょう。親しみやすい上品さのなかにも、技術の高さを垣間見ることができます。
石井③



ちなみに、兎形皿の裏面には、波文様が描かれています(図④)。兎と波文様と合わせて「波兎」を表現しているうつわなのです。波兎というのは、因幡の白兎の神話や、謡曲・竹生(ちくぶ)島にある「月海上に浮かんでは、兎も波を走るか面白の浦の景色や」を意匠化したものとされています。慣習的に耳が長く描かれることが多く、本作品も耳は長めに描かれています。
裏面を見て波兎の意味することを理解できる江戸時代の人々の教養の高さと、裏を返して真の意味を知ることができる粋な造りに感嘆します。
石井④



今回紹介しました「染付 兎形皿」は、小さいながらもぎゅっと魅力の詰まった作品です。しかし、その大きさや薄さ、色合い等は、写真では伝わらない部分も多くあります。是非ご来館いただき、ご自身の眼でより多くの魅力を見つけていただけたらと思います。
最後まで読んでいただき有難うございました。
お忙しい中、丁寧に指導して下さった戸栗美術館の皆様に感謝申し上げます。

(東京学芸大学 石井紗輝)